Arts and Crafts, Food and Styling, Tradition and Originality

スタイリングのマイブーム

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スタイリングのマイブーム

 料理の撮影では、なんといっても料理が主役です。料理が美しく見えるのは白か黒のシンプルな器。
でもちょっとした小道具で料理を邪魔することなく、何か彩りを添えたくなってくる時があります。


まずは、母の知り合いの方が描かれた、お正月の箸袋をご覧下さい。
とっても色が綺麗で、しかもさりげないでしょう?

chopsticksbag

chopsticksbag close
箸袋制作/生原宏子(はいばらこうこ)


こちらも彫金の作家の友人が作ってくれた箸置き。
すごくモダンでシャープ。

Masato's chopstick rest
箸置き制作/Masato Inoue


そして友人が織ったテーブルクロス。
これは北欧の織物ですが、すっきりとさわやかな雰囲気を持っていますね。
ポット、カップ&ソーサーもこのクロスを織った菱田さんの持ち物。

Seiko's weaving
クロス制作/ATELIER ANCHOR-PEG

これらの小道具は共通した性質を持っています。

  1. 売っていそうで売っていない
  2. オリジナル性があるが、主張はしない
  3. 清潔感があり、色彩が料理の邪魔をしない

    この他にも、お店を探してもなかったから、自分で作ったものは、


長~いトレイでコーヒータイム。

long plate2


小さなティーマット的な、エスニックの木のトレイにチャイニーズティーとドライフルーツ。

rectanglar plate2


正方形のトレイに、トマトとバジルのサラダと白ワイン。

square plate3

これらのトレイは、東急ハンズの木の端材をボンドで、ベニヤ板に付けました。


籐のつるを買ってきて編んだトレイに、ぶどうパンとホイップにシナモンふって。
wicker plate


神社の古道具市で、なんと100円だった朱色の木のお盆。新茶と、由緒正しいお寺でいただいた落雁を乗せると、なんだか高級に見えるでしょ?
rakugan on red plate



そして身近にあるモノをちょっとした工夫で、こんな風にも使えます。


英語やフランス語の新聞を、コンビニの単色のカラーコピーでランチョンマット風に、コーヒーとぶどうパン。(このぶどうパンは近所のOKストアで、朝10時に売り出したらあっという間に売り切れる)

greennewspaper close

bluenewspaper


木版画のスタンプを彫ってぺたぺた押して。
消しゴムスタンプでもOK。
GG wave

chili

vege rectangle green copy

vege round blue copy

この紙もちょっとしたデザートを出すときのランチョンに。この日は凍らせておいたトマトをくずして、黒酢とブラウンシュガーをぱらぱらと。

sorbet on wood print


これをコンビニの単色カラーコピーでこんな感じに。ドラ焼きに南天の葉っぱをそえた。冷たいグリーンティーと。

dorayaki on red wood printing



しし唐、ミニトマトを、オリーブオイルでさっと炒めて、醤油と酢とかつおぶし。

flyed green papper on green wood pint



クリスマスの手製カードと、庭の名もないツタを丸く編んで作ったリース(直径7cm)

christmas
カード制作/かの


お正月の水引をこんな感じで、お酒のを入れた片口に結ぶ。

new year

 いずれも、さりげなく料理に寄り添う感じ、でもその存在がありがたいモノたちです。
自分は脇役だということをわきまえていながら、1枚の写真の中に彩りを添えてくれます。
そして庭の小さな草花も、いつもありがとうね!これは本当に可愛いニガウリのつる。

small flower




 そして旅と洋書が、私の先生でした。




la maison
la maison de MARIE CLAIRE




vogue
VOGUE ENTERTAINING + TRAVEL




lee bailey
Lee Bailey's COUNTRY WEEKENDS

 日本料理は、美しい景色に見立てて、山水画のように料理を盛り込んでいくと教えられましたが、素材の良し悪し、料理の腕前、包丁使いの上手い下手がはっきりと出ます。一つの芸術品の域に達し、世界の人の心を動かします。フランス人シェフ、ポール・ボキューズが日本の懐石料理に感動し、ヌーベルキュイジーヌを生み出したように。

 そして、洋書の料理の世界は、料理の盛り付けが一気呵成(いっきかせい)に自然のままに、ハーブやベリーが手からこぼれ落ちたら、そのままの位置に・・・といったおおらかさ、面白みがありました。

 屋外で食べるおもてなしの工夫も凝っていました。芝生の上で、海辺で、大きな木の下で食べるランチ。カトラリーをストライプのナプキンでくるくるっと巻く、大きなバスケットにざっくりとストライプのキッチンクロスをしいて、そこにバケットやワイン、フルーツをどっさり・・・とても新鮮で、20数年前の私は、わくわくしながらページをめくりました。


 旅も大切な先生です。その頃アメリカのコロラド州にある牧場に滞在し、馬に乗っていない時は、美味しいご飯が出てくるキッチンを観察していました。海外のキッチンは、私にとって何処よりも楽しいワンダーランド。アメリカ、メキシコ、インドネシア、タイ・・・現地に知り合いができると、『キッチンに入ってもいい?』と聞いてきました。そこの国の、地域の空気感、置いてあるモノを目に焼き付けてきます。


 ニューヨークでは、ボルシチ(あちらでは”ボルシュ”と発音)に魅せられ、友人に頼んで毎日違う地域のボルシュを食べ歩きました。
ロシア風、ウクライナ風、ポーランド風・・・イーストビレッジあたりに行くと、気軽に食べられます。その時の、本当にシンプルなテーブルセッティングと、ボルシュの出され方が印象的でした。ぽってりとした白いスープ皿に、今にもこぼれそうなほど、めいっぱい盛られているきれいな赤く染まった野菜のスープ。あるレストランでは、真ん中に大きなジャガイモが小島のように、頭を出して真ん中にどーんと入っていました。そして厚みのあるガラスに入った、サワークリーム。それを入れた途端、ショッキングピンクに変わるスープ・・・夢のようです。腰の曲がった小さなおばあさんが、そのショッキングピンク色のスープを頬張っていた、あの日の空気。忘れられません。


 夕暮れ時の台湾の屋台に並んでいた、刻んだ肉や野菜を入れるケースは、四角いアルミとプラスチックで、赤いどんぶりが重なっていたなーとか、メキシコの街角でパンを売っていた親子が、持っていたカゴの美しいあめ色、その下の石畳の砂のような茶色・・・あんな色の石、東京だとどこに行けばあるんだろう・・・こんなだから海外に行っても、いつも目を皿のようにして、細かい観察をする癖がついていて、いまだにゆっくり観光ができません(笑)。


 そして海外に行くたび、どれほどストライプのナプキンや、キッチンクロス、ぽってりとした白のカフェオレボウルを買ったでしょうか。今は当たり前のように、日本の雑貨屋で買えるものですが。今日も私のキッチンで使っています。

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