縫いあわせること
縫いあわせること
うちには捨てられない布がある。山のような量だ。「いつか何かになるはずだ」とためていくと引き出しが満杯になり、また次の引き出しへ・・・。ある仏教の女性の師の言葉がいつも心にあった。
「どんな物にも魂がある。仏性が宿っている。だからどんな物も大切にすることで、その物から生かされる」と。
3年前に亡くなった主人の父は、「おーい!」「おーい!」と部屋のどこからでも私を呼んだが、ついには「俺が呼んだら3秒で来い!」と言った。「私は警察犬か?!」と心の中で反発したが、なるべく呼ばれたらすぐに置いて義父に応じられるよう、介護で頭がおかしくなりそうになった時、静かに自分に向き合えるように小さな布と、針と糸を用意した。好きでためていた着物のハギレや織物をしていたころの残り糸。撮影の仕事で使わなくなったテーブルクロスの端きれ、主人が着られなくなったワイシャツ。彼らに新しい命を与えよう。しかし続けているうちに、私の中に新しい形と心の発見があった。
また今日から大きな物を作る作戦を立てている。
IDEAでインドの素晴らしいベッドカバーを見たのだ。古い色の褪せた手触りが優しい大物だった。さあやるぞ!
テキスタイルアート